女性セミナー〜東京 2003年9月27日(土)
世田谷区区民会館別館 集会室
参加者45名
講師 塙美由貴先生(みゆきメンタルクリニック院長)
三浦早結理(「なんとなく具合が悪いの原因がわかる本」著者)
女性がうつ病になる確率は男性に比べて1.7倍から2倍という統計もあるそうです。また、女性は家事、育児、そしてパートや社員としての労働と男性以上に過酷なストレス状況下にあります。それだけにうつ病で悩む女性の問題は深刻だと言わざるを得ません。
そこでうつコミュニティでは定期的に女性に焦点をしぼったセミナーを行うことにしました。この東京での開催は、その最初であり、また、今後の試験的な意味も含まれています。この女性セミナーでは女性医師が女性にまつわるうつ病の特徴と対策を講演し、ついで女性のメンタルケアの本を書いたフリーライターの三浦早結理さんが、これまでの取材を通してうつ病と女性の現状について報告します。
第1回目の講師をお願いした塙先生からは、まずうつ病治療が想像以上に進んでいない現状のお話がありました。自殺者の多くはうつ病になんらかの関係性があると言われている中、そうした治療が進まない現状はもはや社会問題であるということが述べられられまた。そして、「病気は全般的に言えることですが、うつ病でも初期の段階で治療を開始していればそれだけ治りやすい」ことを強調して、女性にありがちなことですが、精神科や心療内科を敬遠しないように訴えられました。実際、睡眠障害や食欲不振なとで内科、婦人科で診察を受けても一向に症状が改善されなかった患者が、心療内科で抗うつ薬を服用することによって軽快して事例を挙げて、体の不調もメンタルケアに関係していることを指摘されました。
次に女性特有の問題点として、月経前症候群(PMS)を取り上げ、生理中はイライラしたり、涙もろくなることは誰しもあるが、それが半月以上続く場合は、心療内科的治療が必要であり、それはうつ病でない女性でも抗うつ薬を服用すると症状が和らぐことを解説されました。また、産後うつ病について触れられ、全出産した女性の10パーセントもの人が抑うつ状態、あるいは軽症のうつ病になるというデータを示されました。特にこの産後うつ病を放置しておくことの危険性として、抑うつ状態で子育てができず、自分が産んだ子供にもかかわらず可愛がれない母親になってしまい、児童虐待を根を作ってしまうことを警告されました。これは今、うつ病とは無関係でいると思っている女性にとっても他人事ではないかもしれない危険性をはらんでいるだけに傾聴に値する内容であったと思います。さらに更年期障害に伴う抑うつ状態の一例として、手塩をかけて育てた子供が育って親の手を放れることで、自分の役割を見失い抑うつになる「空の巣症候群」などを挙げて、更年期とうつ病の関係について解説をしていただきました。
このような主婦のうつ病ばかりでなく、女性の場合、働く女性にもうつ病が増えていることが問題だと塙先生は指摘して、男女機会均等法以後も能力があっても男社会の企業風土の中で、OLなどは過度のストレスを強いられており、それがもとでうつ病を発症することもあるという実例を挙げて、女性をとりまく社会情勢全体とうつ病の関係について丁寧な説明をいただきました。

後半は三浦さんの取材を通して浮き彫りになった様々な女性たちのうつ病の事例が報告され、いかに女性がうつ病を和らげていけるかという提案がなされました。
質問の時間では、今回から質問用紙に内容を記してそれを三浦さんが読み上げる方式をとったのですが、実に半数近くの人から質問が集まり、いかに日頃、女性のみなさんがうつ病についての疑問に思っているかが実感できました。中でも妊娠と抗うつ薬の影響については、関心も高く、熱心に塙先生の説明を聞く参加者の姿が印象的でした。
今回は約1割近くも男性参加者がおり、妻や恋人のうつ病について知りたいという男性のニーズも感じられました。あるいはご夫婦で参加された方も多く、講演を聞いた後にご家庭内でうつ病について話し合われることはとても治療上、有意義であると思います。
東京という大都市圏にしては少人数の参加者に止まりましたが、今回は告知もあまりできずにいたので、いたしかたないと思います。それよりも内容度の高さ、参加者の熱心さから女性セミナーの必要性をあらためて感じた次第です。今後も大阪や博多、札幌など、大都市圏を中心にこうした女性セミナーを開催していきます。
(アンケートから)
- うつの知識は本などでよく読みますが、実際に医師から生で聞く機会は少ないので、と てもわかりやすかったです。
- (取材者として)客観的に女性のうつについて話をしてもらう機会もないので、とても 参考になりました。
- 質問の時間がとても勉強になりました。自分でも気づかずにいたことがいろいろ聞け て、良かったです。
- 不眠症で服薬中ですが、このまま病気が進むとうつになると言われてどうしようかと思 っていたので、今回のような講演会に参加できて、いろいろと勉強になりました。
- 女性の立場に立ったお話でとても有意義だったと思います。
- 質問コーナーの回答がとても役立ちました。
- 今まで気になっていた事柄についていろいろと知識が得られてとても嬉しく思います。
- (うつ病の)基礎知識がよくわかった。
- 実例を多く挙げてもらったので、わかりやすくかった。
- 他のうつ症状の経験したした方の話を聞きたいと思い、参加してみました。
- 薬とカウンセリングが必要なうつの違いが理解できた。
- (三浦さんの)うつに対する5つのポイントと焦らず、心のメンテナンスを行う時間を
考えるというお話が印象に残った。
- 同じうつでも人によって多様な症状がでることがわかった。
- このような会が頻繁に行われることでうつに対する知識が広まると思う。
- うつとは身体的な問題であり、心理的な問題だけではないことがよくわかった。
- 薬に関する先生のアドバイスが良かった。
- 実際に医師の方やうつ病を取材したライターの人から話を聞く機会はそんなにないの
で、参加して意味があったと思う。
- 質問コーナーで多くの人がうつに悩んでいることを知って、少し安心した。
- (三浦さんの話は)さすがに具体的で参考になった。
- とてもわかりやすくお話いただきありがとうございました。人生の節目にうつ病にかか りやすい時期が来るのだと感じました。
- 「心の風邪」と言われるほどに誰でもうつ病になる可能性はあるというのに、老人性う つと診断された父の話をすると「エッ?」というような顔をされることが多く、まだま だ偏見は大きいように思います。今回のような講演会を多くの人に聞いていただいきた いと思います。
- 以前、職場の同僚(女性)がうつ病で休職してしまいました。幸い、今は結婚していま すが、その当時は同じ職場の人々が、その女性について心ない言葉で陰口を言っていた のを目の当たりにしました。体の病気で休むと同情されるのに、心だとどうして悪く言 われるのでしょうか。まだまだ世間の人はそういうことに対して悪く思っているようで すが、世間の意識も変わって欲しいと思います。そうすれば診察してもらいやすくなる はずです。
- 妻が通院中ですが、うつは身体疾患のひとつであるということを聞き、安心しました。 焦らず、じっくりと取り組んでいこうと思います。
|