女性セミナー〜大阪 2003年10月25日(土)
クレオ大阪西 ホール
参加者65名
講師 小池哲子先生(小池メンタルクリニック院長)
三浦早結理(「なんとなく具合が悪いの原因がわかる本」著者)
東京に次いで2回目の女性セミナーです。
まず小池先生から「うつのつらさを招く悪循環」のパターンとして、「3つの誤り」というお話がありました。その3つとは、1.自分が駄目な人間だと思ってしまう自己否定、2.自分がいないほうが周囲の人々にとっていいはずだという誤った思いこみ、3.自分はもう良くならないに違いないといううつ状態の続行に対する誤り、です。これはうつ病になってしまうとどうしても陥りがちな精神状態なのですが、このことを本人が自覚するのはもちろんのこと、周囲の人々も気づいてあげることで、本人のつらさを軽くして楽になれると先生は言います。そして常々、「必ず良くなる」と言い続けることが患者にとって心の支えになると先生は強調されました。
また、今回は女性に対象を絞った講演会ということもあって、世代別にうつ病になりやすい女性のファクターを具体的に例示されました。まず若い頃は妊娠・出産を経験することが多い世代ですから、言ってみれば女性ホルモンのサイクルに従ってライフサイクルが展開されると考えられ、それに伴ってうつ病やうつ病にならなくとも抑うつ状態になりやすいケースを具体的に挙げられました。例えば、結婚前後は「マリッジブルー」と呼ばれるように、今まで独身時代とは違う生活環境に置かれることで抑うつになりやすいものです。このことを先生は「根こぎうつ病」という言葉で表現されました。つまり、自分が持っていた価値観や人生観が「根こそぎ」なくなってしまい、新しい環境に放り出される時にストレスを感じて、それがホルモンバランスを乱すということです。一般に結婚はお祝い事で、抑うつ感情など起きないと思いがちですが、女性の人生にとって結婚はもしかすると最大の転機かもしれません。それだけにこころの負荷も大きいのです。
次に抑うつ状態になりやすいのは、妊娠・出産などによる「マタニティブルー」と呼ばれるものです。妊娠・出産は女性にとって体を張った大事業。そのため、ホルモンバランスも劇的に変化するので、心身の不調が表面化してきます。概して「マタニティブルー」は妊娠・出産にはつきもので、放っておけば元に戻ると楽観的に考える人も多いようですが、ここでもやはり個体差ははっきりしており、心身の調子が元に戻る人もいれば、妊娠・出産をきっかけにしてうつ病が発症してしまうケースも少なくありません。その意味で、「マタニティブルー」も軽視してはいけないと先生は警告されました。
さらに最近は結婚してもしなくても仕事を続ける女性が増えています。男女機会均等法などによって、女性も管理職になったり、異動の事例が出るケースも当然のことになりつつあります。その際、昇進うつ病や異動うつ病など、やはり今までとは違った立場、環境に立たされた時に感じるストレスがホルモンバランスを乱すことで、抑うつ状態を招くことも多いと先生は言います。いわば若い世代の女性には様々な形でうつ病の根が潜んでいることがよくわかりました。
中年期になると、今度は更年期障害などが問題になってきます。先生は35歳から40歳ぐらいで女性ホルモンが乱れ始めて抑うつ状態になりやすい「前更年期障害」状態を迎え、その上、40歳から50歳前後の閉経時にホルモンバランスが崩れて、一層、抑うつ状態になりやすい危険性を示唆されました。環境的にもこの世代は子供が独り立ちして自分の役割を見失ってしまう、いわゆる「空の巣症候群」や親の介護から解放されてやっと自由になった途端に自分の存在価値を見失ってしまう「荷下ろしうつ病」の危険性が高いことが指摘されています。体力的にも衰えを感じ始めて、そのために抑うつ状態になることもあるので、中年期もまた、要注意なのです。
そして老年期になると、骨折や歯の不具合など、体の不調がきっかけになり、抑うつ状態、あるいは老年期うつ病を発症しやすいそうです。
このように女性はホルモンバランスとライフサイクルがリンクしてうつ病に結びつきやすい状況に置かれていることからも、日頃から心身にストレスをためない、無理をしないなどの予防策が必要であり、不調を感じたら早期発見早期治療の原則に則って、医師の診断を受けるようにと先生はおっしゃいました。
その他、爪もみ健康法や納豆がいい話など、あまり病院や参考書では知ることの出来なかった身近な健康法についても解説があり、女性参加者にとっては大変、有意義だったと思います。

三浦さんの講演は前回の東京と同様に取材実例からうつ病治療の必要性が女性には特に高いこと、それにもかかわらず、現状ではなかなか女性が精神科や心療内科にかかりにくいという点を取り上げて、もっと気楽にこころだけでなく体の不調を感じたら、専門医の診察を受けるように促しました。
女性セミナーは毎回、女性がほとんどですから、非常にアットホームな雰囲気で進行しており、会が終わった後も参加者同士で喫茶店に入り、自分たちの境遇を話し合ったり、励まし合ったりしたと後で参加者の方からお聞きしました。うつコミュニティでは女性セミナーは小規模ながらも、大変必要性を感じており、今後も続けていきたい所存です。
(アンケートから)
- 今後も身近な相談場所という形で活動をお願いいたします。
- 患者本人ですが、生計が立てられず、蓄えが尽きそうで不安が大きかったのですが、先生のお話になった「3つの誤り」にとらわれている自分を発見しました。今後はまず病気の治療(リラックス法など自分での養生も含む)をしていき、生活のことは考えないようにすることにしました。
- (三浦さんの講演にあった)うつになった時の「5つのポイント」は頭でわかっていながらも、なかなか自分の中に定着しにくいことなので、あらためてお話を聞いて確認できて良かったです。いつも一人で本やインターネットでうつについて調べたり、考えたりしているので、このようなオープンな場で直接話を聞くことで、(自分にとって)良い刺激になったと思います。来て良かったです。ありがとうございました。
- 18歳の頃からうつ病で毎年のように苦しんでいます。しかし、夫もでき、子供も2人いて、とてもいい形が巡ってきました。でも、ちょっとした人間関係や子育ての気遣い=思いやり=我慢と「誤った方程式」が頭の中にあり、平成11年から暗い曲がりくねったトンネルの中にいるような気分で入院も2回しました。「逃げ出してしまいたい」と思い、両親も「しんどい」と言っているので心を閉ざしていたのですが、このセミナーでなにかヒントを得られればと思い、参加しました。まだ知らなかったポイントがいくつもあり、大変嬉しかったです。できれば、うつ病にかかっている人たちとディスカッションなどもしてみたいと思います。
- カウンセリングの勉強中です。母がうつ病で通院しています。いろいろな悩みがあるのだなぁと感じました。質問コーナーでは勉強になる点も多かったと思います。ますますカウンセラーの必要性を感じて、今日、来て良かったです。
- 日常生活でできる健康法を実践してみたい。なにもする気がせず、なにを見ても興味が持てず、うつ病ではないかと思っていたので大変勉強になりました。
- うつ病セミナーに出席したのは初めてです。でも、病気で悩んでいる人が多いことも初めて知りました。今、私も4ヶ月前から更年期うつ病と診断されて薬を飲んでいます。やっと近頃、意欲がわいて気持ちが楽になっり嬉しく思っています。自分の体験をきっかけにもっとうつ病の正しい知識と情報を勉強していきたいです。
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