岡山 2003年10月11日(土)
岡山県総合福祉会館 ホール
参加者125名
講師 光信克甫先生(岡山済生会病院精神科神経科診療部長)
上野玲(うつコミュニティ代表)
岡山も夜の開催でしたが、100名を越える参加者が集まっていただきました。それだけ岡山でもうつ病について関心が高いことが感じられます。
光信先生は黒板に気分変調の波形を書かれて、具体的にうつ病の症状がどのように推移するかを丁寧に説明してくださいました。
さらに先生は「うつ病は一生のうちにかかる確率が高い病気である」ことを強調。うつ病が実は身近な病気であることを指摘されました。
うつ病には様々な原因があるとされていますが、大きな喪失体験をきっかけにうつ病になってしまう人もいます。しかし、先生は「あまり原因にとらわれないようにしたほうが良い。たとえきっかけとなった出来事がなくなったとしてもうつ病が発症してしまうと症状は続いてしまうことがある。あるいはきっかけがなくてもうつ病になる人もいる。その意味ではきっかけの有無よりも症状が出たことを重視して本格的な治療を開始する必要がある」と述べられて、まだまだうつ病治療を受けるべき人が治療を受けていない現状こそが問題であることをあらためて明らかにされました。
うつ病治療については、基本的に投薬と休息が必要なことはよく知られていますが、この休息をとることがなかなか難しいと先生はいい、「頑張らなければいけんと思う患者さんに休めと言うのが医師のつとめ」とおっしゃいました。
ただ、休めと言われてもなかなか納得できないものです。そこで先生は患者さんに「頑張ると仕事や家事をやめてしまう間には休む、というファクターがあるのだということを認識することが大事。そうした選択肢を本人のみならず、周囲の家族なども患者を応援するためにサポートしてあげることが治療効果をあげるポイント」だと周囲の理解と協力の必要性を説かれました。
抗うつ薬については「こころのバランスを戻す作用があるだけであって、決してうつ病そのものを完治させるものではない。副作用などの心配もあるだろうが、勝手に自己判断で薬を中止してしまうのは禁物。効き目も副作用も個人差が大きいので、少量から徐々に増やしていくのがいいだろう」とアドバイスされました。
また、うつ病ではどうしても避けて通れない自殺について触れられて、「死にたいと思うのは病気のせいであることを周囲は懇々と説明すること。死にたいと思うときは周囲の人々となぜ死にたいかを話し合うなど、対処法はある。そして患者本人にプレッシャーをかけない程度に、死なれては悲しい、困るということを伝えることが必要」だと自殺の対策をお話になりました。
最後に中高年のうつ病予防の10則をひとつひとつ丁寧に説明され、うつ病の予防、治療、そして再発を防ぐことは日頃の考え方、生き方によって可能であるという希望のもてる内容で締めくくられました。先生の最後の言葉が印象的でした。「自分の命がかかっているのだから、仕事や家事の方法も考えていかなければいけない」。これはうつ病を「こころの風邪」と思い、軽く思いがちな風潮に対する臨床現場からの切なる声であると思います。

上野の講演に続いて質問の時間になりましたが、うつ病を患っている娘さんから悲痛なメールが届いたという男性から、孤独でうつ病と戦っている娘にどのように接したからいいか、といった切実な悩みなど、様々な質問が出され、病院では聞くことの出来なかった生活レベルでのうつ病との付き合い方が示されたと思います。
この講演会では地元紙の山陽新聞から女性記者が取材にこられ、熱心に話を聞いていました。それが後日、紙面に大きく取り上げられ、その記事によってうつ病に悩む人々への励みになったと思います。そうした意味で、新聞などのメディアが徐々に私たちの活動を取り上げて、問題提起していっていただければ、相談したくてもできない行政の受け皿がないという現状も変えていけるのではないかという希望を持ちました。
(アンケートから)
- 初心者の私にもわかりやすい説明だった。
- 是非、今日の講演会で話されたような内容を会社の上司に話してもらいたい。
- 実体験を聞くことができて満足。
- (うつ病にはよくなっても)波があるとは知らなかった。薬で劇的に治ると思っていた。
- 私はうつ病患者ではないが、苦しむ人、悩む人の集いができて、治療や救済の助け、力となる活動をされていることは立派だと思う。
- 実際の患者と接しているカウンセラーの話があればもっと良かった。
- 県の精神保健センターはいったい機能しているのだろうか。
- 娘がうつになったと気づいて10年。病院に入院したり、通院したりしているが、私たちのような家族と同じような方と出会いがあったらと頼ってきました。今日は本当にありがとうございました。
- このような会を企画してくださって良かった。今後はネットで参加させていただきます。
- わずか1時間でいろいろなことがわかりやすかった。多くの患者さんを診ている先生だけに、具体的なやりとりの話を聞くことができてよかった。
- 初めて主人(うつ病患者)以外のうつ病の人のお話が聞けて良かったです。
- こういったうつ病のための講演などはないかとずっと思っていました。患者も家族も孤立しやすいと思います。そういった意味で大変、意味のある時間でした。
- (上野の話は)自分の痛みのように感じて参考になった。
- 母が(うつ病で)入院中で不安だったことが、先生の話を聞くことで安心できました。
- 自分の体験に基づいてわかりやすく説明してくださり、母の気持ちがわかりました。
- 自分は患者ではないのでうつ病の内容がよくわからなかったが、とても理解できた。
- やはり経験者のお話は身内にとって参考になることがたくさんあり、少しは患者本人の気持ちを思って、そっとしてあげるようにしようと思う。
- 家族の接し方がわからなくて、ちょっとした参考書を読んでみましたが、概略だけでピンときませんでした。上野さんの「生」の声を聞いて、心が開かれた思いです。出席して良かったと思いました。もっともっとうつ病の方々と接する場所が欲しいと思いました。
- (上野の講演は)わかりやすく、経験者ならではの話が聞けて本当によい講演でした。
- またこのような会をしてください。いろいろな話が聞けて参考になりました。
- 最後の質疑応答がとても参考になった。
- うつ病の基本について本で読むより、やはり耳で聞くとわかりやすい。
- 将来、職場でうつ病に悩む人をカバーできる部署にいけたらと思う。
- うつ病をプラスにするという考え方を得たいと思えるように感じた。
- スキンシップの重要性については勉強になった。
- 自分の状態を代弁してもらっているようで、(つらいのは)自分一人ではないと思えてホッとした。
- 参加者がかなりいたことで、うつ病患者がたくさんいることが実感できてよかった。
- どんなに本を読んでも、治療を受けても、孤独感があったが、上野さんの話で初めて同じ症状があることを現実として実感できた。
- (先生が)俗説を医学的な目から否定してくださったのは嬉しかったです。
- 家族は患者当人に対してどのように接したら良いか、具体的に教えて欲しい。また、うつ病という病気がよくわからない。これから勉強していきたいと思います。
- 「仕事より命が大事」という言葉が耳にすごく残りました。
- うつ体験者の貴重な話を聞けてよかった。今後に役立つ話でした。ありがとうございました。
- ご自分のことを本当によく話してくださり、感動しました。うつ病の方の心理状態がよくわかりました。
- (先生の話は)わかりやすくて参考になる事がたくさんありました。また、質問に対してとても率直で誠実さが伝わってきました。
- とても良かった〜。大変な中、力強い、生き生きとした内容にグイグイ引き込まれてしまいました。
- 片道1.5キロかけてきて良かったです。主人がうつで休職中です。うつの情報源は本、新聞くらいです。主治医の先生と話せるのは少しの時間だけで、なかなかこのような機会に出会えることは今までなかったです。帰ってホームページを見てみます。
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