松山 2003年11月3日(祝)
愛媛県生活文化センター 大広間
参加者25名
講師 山内克之先生(三番町メンタルクリニック院長)
上野玲(NPOうつコミュニティ代表/フリーライター)
松山の会場はこれまでとは違い、畳敷きの大広間でリラックスした雰囲気で行われました。当日は開始時間前から雨足が強くなり、そのために参加者が今までで一番少なくなってしまったことは残念ですが、その分、アットホームな講演会になったと思います。
山内先生はスライドを使い、うつ病の要因として脳の情報伝達物質が不足すること、うつ病になりやすい性格などをわかりやすく説明していただきました。そしてうつ病になるきっかけとして、職業上の問題(異動、職種の不適応、過労、人間関係など)、経済的問題、家庭内葛藤(夫婦関係、嫁姑関係、育児など)、生活環境の変化(結婚、引っ越し、老親との同居など)、月経、妊娠・出産といったようなものがあることを具体的に例を挙げながらお話になり、うつ病の出現頻度を人口の0.5パーセント、約200人に1人の割合で起きることから、非常に身近な病気であることを指摘されました。さらにうつ病が多い世代として、20歳代から30歳代前半、60歳代など、ライフサイクルの中で変化が生じやすく、そのためにストレスが強い年齢(特に30歳と60歳がピーク)の人は注意が必要であると強調されました。
また、うつ病は「こころの風邪」と言われますが、身体的な不調も伴うことがほとんどで、その中でも睡眠障害(深夜に目覚めてしまい朝まで眠れない早朝覚醒)がもっとも多く、その逆で眠りすぎてしまう過眠も5パーセントほどあることなど睡眠に影響が出やすいとお話になりました。その他にもあまり知られていないことですが、皮膚がかゆくてしょうがなくなるなど、皮膚にもうつ病の身体症状が出るというのは参考になりました。
さらにうつ病はパニック障害、摂食障害、社会不安性障害(赤面症など)、全般性不安障害(普段から不安でしょうがない)といった障害も併発することがあるそうです。
その上で、うつ病には薬物治療が効果的であることを挙げられて、比較的副作用の少ないSSRIやSNRIの説明をされました。こうした抗うつ薬を飲み、適切な治療を受けていれば、3ヶ月から9ヶ月でうつ病は基本的に治るとされていますが、問題なのは再発率が約40パーセントもあり、何年も抑うつ状態が続く、慢性化するうつ病もあることなど決して安易に考えてはいけない病気であるとお話になりました。
治療上のポイントとしては、十分に休息をとることや抗うつ薬などの服用はもちろんですが、重大な決断(仕事を辞める、離婚など)などはしないが大切だとお話になり、周囲の対応としても「頑張れ」など安易な励ましはかえって逆効果であるので、暖かく見守る姿勢をとり続けて、「どうしたいのか?」といった患者の考えや決断を迫らないこと、外出や運動を無理にさせないこと、家事など日常の労働は極力、分担して、患者の負担を軽くするように心がけようと呼びかけられました。

上野の講演は人数も少ないことで、むしろ参加者一人一人に話しかけるような形で行うことができて、参加者が多い時とはまた違った意味でやりがいのある講演ができたと思います。
今回は雨や地元紙の扱いが小さかったために開催の情報が行き渡らなかったなど、参加者数が伸びなかった要因が重なりましたが、たとえ25名でも同じ街に同じ悩みを持っている人々がいることを知ってもらえた点では、意味はあったと思います。できれば、自治体レベルで、こうした講演会を何度も行って、よりよくうつ病を理解してもらえる機会が増えることを期待します。
(アンケートから)
- (うつコムの)ホームページを活用します。
- 別の会があり最初から参加出来ませんでしたが。どうしても聞きたくて途中から話を聞きました。(上野の講演の)最後と質問が聞けたのでとても参考になりました。うつの方への正しい認識と対応はまさに今、第2段階(第1段階はうつ病という名前を知って もらうこと)に入ったと思います。今後も理解を深めたいと思いました。
- 先生の講演が非常にわかりやすく勉強になりました。病気を客観的にみることで、一層、理解が深まりました。このような機会を設けていただきありがとうございました。
- (上野の)気持ちをお聞きすることができて、うつ病患者さんの気持ちを理解することができました。ケアのしかたをもう一度、考え直したいです。
- うつ病は難しいということがわかった。
- これからも希望をもっていきたいと思います。いろいろと教えていただいてありがとうございました。
- 山内先生のお話は具体的でわかりやすく、大変参考になりました。原因や症状、対応のしかたなどがよくわかりました。現在、うつ病にはかかっていませんが、年齢的にも健康保持のために今後も努力していかなければいけないと思いますので、勉強になりました。うつ病経験者は今後の人生にマイナスではなく、プラスになると思います。
- 2回目のうつ病発症中です。今日の山内先生のお話で、「特殊な病気ではないこと」「必ず治ること」が聞けて安心しました。上野さんのお話には、共通の感覚(人に責められているような気がするなど)や共通の体験、症状がたくさん含まれていて、孤独感から少し抜け出せるような気持ちになれました。ひとりじゃないんのだなぁと思えました。気長にうつ君とつきあってみることにします。またこのような集まりを行ってください!
- うつ病が脳の病気だとはびっくりしました。私の知り合いも高齢になっていきなりうつになり、今は治療をしています。いつ自分がなるかわかりませんが、今日の話を聞いて偏見を持たずに接していきたいと思います。また松山に来てください。
- 治療のヒントをたくさんいただきありがとうございます。もう発病して2年半もたち、親子ともども疲れています。もう一度、気を取り直して病気に立ち向かっていこうと思えるようになりました。
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