■うつコム講演会記録

金沢 2003年9月14日(日)

石川県生涯学習センター 大会議室
参加者65名
講師 宮津健次先生(金沢大学附属病院神経科精神科講師)
   上野玲(うつコミュニティ代表)

 台風の接近が心配された金沢ですが、幸いなことに台風は進路をそれて、雨や風の心配はありませんでしたが、9月としては記録的な残暑が続く中での開催となりました。  宮津先生には今回の講演会のために、特別にうつ病についての要点を簡潔にまとめたスライドを作成していただきました。ポイントが明確に示されているだけに、わかりやすい講演になったと思います。
 先生はWHO(世界保健機構)の統計として、うつ病にかかる率を世界の人口の3パーセントにのぼると指摘され、ご自身の臨床経験からも「30人から40人に1人はうつ病にかかるといえる。いわば隣近所に1人はうつ病を経験した人がいるということ」であり、「しかし、うつ病患者のほとんどが内科などで診てもらうことで我慢しており、精神科の専門医の診察を受けているのは非常に少ない。だから、うつ病について関係ないと思うのは錯覚であって、身近にうつ病の人が多くいるのは間違いない事実」と、まだまだうつ病に対する社会的な認識が浅いことを強調されました。
 日本ではうつ病の罹患率(うつ病になった人の割合)についての統計調査はまだ不十分ですが、スライドでアメリカをはじめ様々な国での罹患率を数字で提示していただき、いかにうつ病が身近な病気であり、特殊なものではないことか、ということがわかりました。中でも高齢者は3人に1人がうつ病によってなんらかの体調不良を抱えていることを指摘されたのは、参加者に高齢の方、あるいはご家族が多いことからも大いに参考になったと思います。
 また、うつ病にかかりやすい人の性格などにも触れられて、几帳面で真面目というこれまで日本では理想的な性格とされていた人にうつ病が多く、そのためにかえってストレスの発散ができにくい実情があり、うつ病を悪化させてしまっていたというお話がありました。罹患率が男性の2倍と言われている女性についても、妊娠、出産、産後など、環境の変化が影響してうつ病を招くことがあることなど、女性の参加者にも興味深い内容でした。
 そして最後にまとめとして「うつ病は様々な環境の影響や脳の情報伝達物質の不調などによって起こるものと考えられているので、決して気の持ちようや精神力で治るものではない。適切な治療とこころを休ませることが必要である」ことをうつ病治療のポイントとして挙げられました。
宮津健次先生
 上野の講演後は質問の時間となり、抗うつ薬の効き目があるかどうかを見極めるにはどれくらいの期間、服用を続ける必要があるかという問いには、先生から「6〜8週間は飲み続けてみないと果たしてその薬が自分に合っているのか、効果があるかはわからないので、勝手に薬をやめたりしないことが大切」というなかなか病院では聞けない具体的なアドバイスを受けることができました。他にうつ病は果たして「治る」ものなのか、という難しい質問やうつ病と「怠け」とはどう違うか、など、奥の深い質問が相次ぎ、質問時間として設けていた30分はあっという間に過ぎていました。
 講演会後、金沢でも家族会を作ってみたいと申し出る方がいるなど、今回の講演会は参加者が若干少な目でしたが、参加された方々には得るものが多い講演会になったと思います。

(アンケートから)
  • 同じ病気の人々が集まることは大変良いことだと思う。
  • (体験談は)実感がこもっていて良かった。誠意を感じました。
  • うつのメカニズムや薬の効能についてわかって、安心できました。
  • 患者の先輩として体験を聞いて、これからのアドバイスにします。
  • スライドの説明がわかりやすくて良かった。
  • (体験談は)とてもわかりやすく、参考にしたいと思うこともあり、良かったです。
  • みんな、悩みが違うのだなと思いました。主人の場合、うつから躁の気もあった為、お酒のことでやめた方がいいと言われて助かりました。
  • 今まで病状について知らなかったことを大変わかりやすく教えていただき、今後の参考になりました。もっとゆっくりと病人(息子)の病気とつきあっていくこころを持っていくようにします。
  • とてもいい体験談を聞かせていただき本当にありがとうございました。将来ある息子のために、私も希望を持って病気とつきあっていきたいと思います。
  • 今日はとても有意義なお話をありがとうございました。今後もこのような機会があれば、参加させていただきたいと思います。
  • わかりやすいお話をありがとうございました。ひとつだけお願いとしては、先生が日頃、入院や外来のうつ病患者さんを診ている中での具体的な話(特に回復された方について)を教えていただけると、ありがたかったなと思います。
  • 患者さんでもあるという方からのお話を聞く機会はなかったので、聞きながらつらいところもありましたが、うまく言葉にできないですが、参考になりました。
  • 質問の時間に出た「うつ病に慣れてしまうというのは問題」という言葉は、今の私にはずっしりと重みをもって感じられました。
  • 主人(75歳)が6年半前からうつ病になって通院しており、今まで本やテレビなど、うつの話題にはとびついて見てきましたが、今日のお話は本当にわかりやすく、参考になりました。
  • ご自身がうつ病の経験者だけにお話、とてもよくわかりました。
  • 今後もこんな会に出られたらいいと思いました。
  • 大変参考になりました。病歴が長いのですが、知らなかったことも多く、発見がありました。
  • 全体的には大変良い取り組みだと思います。ありがとうございました。
  • 経験に基づいたお話は心に響き、具体的で非常に良かった。
  • 熱心な講演に感動しました。
  • 偏見を持たないで病気の人を見たいと思った。
  • (先生の講演は)大変わかりやすかったが、もう少し精神療法について詳しく聞きたかった。
  • (体験談は)大変感動しました。ありがとうございました。家族としての対応で参考になりました。
  • 家族会などができるといいなと思いました。家族も苦しんでいます。家族の方の話が聞けて良かったです。家族のこころがサポートされると、病人にも優しく接することができると思います。(うつ病は)長期にわたるので、いろいろな方と交流ができればいいなと思います。
  • 大丈夫という言葉はとても良い参考になった。
  • 私もうつに陥りやすいので、とても励みになり、勉強になった。
  • (患者)本人の気持ちを聞くと、自分も危ない時があったと再認識した。
  • 病院に行ってもこんなに詳しく話を聞くことはできないので、とても良かった。
  • 経験者の話が聞けて良かった。
  • うつを体験された方自身の話を聞く機会はなかなかありません。予想よりも人が少なくてもったいないなぁと思いました。
  • 「大丈夫」という言葉から真のケアーを教えてもらった。
  • 好きな言葉の繰り返しで精神の安定につなげるというのは良い考え方だと思う。
  • 自分で判断して薬をやめてはいけないということがわかりました。
  • 上野さんの実際の体験を聞いて、少し「楽」になりました。
  • 自分自身のことを交えて講演してくれたので、聞きやすくわかりやすかった。

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