■うつコム講演会記録

広島 2003年10月13日(祝)

アステールプラザ 多目的スタジオ
参加者310名
講師 岡本泰昌先生(広島大学大学院医歯薬学総合研究科精神神経医科学)
   上野玲(うつコミュニティ代表)

 広島は10日に上野が夕方のテレビニュースに生出演して講演会の話をした影響もあってか、これまでで最高の310名の方々に集まっていただきました。会場の定員が240人だったので、椅子が足らず、立ち見や床に座りながら講演を聞く方もいて、まさに満員状態の開催でした。
 岡本先生は高校生の教材として使うスライドを用いて、「こころは脳にある」という説明をわかりやすくしていただきました。人間の感情、つまりこころは脳の前頭前野あたりにあるのではないかとされており、脳の様子を示すMRIの写真などを見せながら、素人にも理解できる易しい言葉で脳の解説をされました。その上で、この前頭前野の機能とうつ病が実は関係しているのではないかと考えられていることを示唆され、実際、参加者に文字に対する反応力を測る簡単なパフォーマンスをさせてみて、この反応力が劣った状態がうつ病に見られることをMRIの写真などで具体的に見せてもらえたのは、とても参考になったと思います。
 その結果、うつ病は脳の病気であることを強調され、やる気がない、怠け病だなどの俗説がいかにいい加減なものであるかを指摘されたのは、参加者にとっても励みになる言葉だったでしょう。
 また、岡本先生は一生のうちにうつ病を体験するのは6人に1人で、現在、うつ病の人は30人に1人の割合でいるらしいことから、うつ病が決して特別な病気ではなく、身近な病気であることを再確認されました。特に女性や高齢者に多い点からも、もっとうつ病の理解が必要であるとのお話でした。
 さらに再発についても触れられて、半年でうつ病患者の半数は良くなるが、10年後のわたって統計をとると、5割以上が再発している現状から、安易にうつ病を「こころの風邪」と済ましてしまわず、きっちりと診断して、きっちり治療すべき病気なのだということを改めて参加者に言い聞かせるような口調でおっしゃりました。それというのも、海外のデータでは、うつ病を患っているにも関わらず、抗うつ薬を服用しているのは実に5%に過ぎず、多くの患者は的確な治療を受けていないからです。それは日本でも同様に言えることで、医師がいくら病院で治療をしようと思っていても、まだまだ患者の意識レベルが上がらない限りは、うつ病治療が進まない現状の問題点を指摘されたように思います。それだけに、こうした講演会など、患者や家族レベルでの啓蒙的な取組が今後、ますます重要性をもっていることを再確認しました。
 この他、薬物治療以外の認知療法などについても解説され、広島大学病院で認知療法を中心としたグループセミナーを行う予定であり、参加者に興味があれば是非、参加して欲しいと呼びかけられました。このように各地で様々なうつ病治療の取組が行われていることは大変必要なことだと思います。それだけうつ病に対する危機感を医師は持っているのですが、行政の対応が後手後手に回って、相談したくてもできない、という受け皿のなさを解消していかない限り、いくら厚生労働省が内科医や保健所にうつ病に関するパンフレットを配ったとしても、それは単なるポーズでしかあらず、現場が求めている政策ではないことは明かです。うつコミュニティでは引き続き、講演会などを通じて、行政の前向きなうつ病対策を求めていくことにします。
岡本泰昌先生
 上野の講演もこれだけ人数が多いと自然に力が入り、やり甲斐がありました(ただし、終わった後はその反動で強い抑うつ感に襲われて大変でしたが)。
 質問も活発に行われ、こうしたやりとりを体験した人々の中から、広島での地域活動として、うつ病の患者や家族が集える場を作る動きが出ることが期待されます。
 今回は人数的にも、内容的にも非常に成功した講演会だったと言えるでしょう。

(アンケートから)
  • 私たちだけではなかった。私より苦しんでいる人に会えたこともあり、こころが少し楽になった。
  • うつ病と脳の関係がよくわかった。
  • うつを自分の個性として生きるという考えは参考になった。
  • うつ病の方のサークルは是非、必要だと思います。いろいろアクセスしていますが、なかなかフィットするものが見つけられず、結構、孤立感を深めている状態です。信頼しあえる人がいれば救われます。
  • 家族として患者本人の気持ちを癒す方法がわかり、勉強になりました。
  • 上野さんが話されたように地域のサークルが早くできて欲しい。
  • うつとうまく付き合っていく、というのが印象的でした。
  • こういう場を広島でたくさん設けていただきたい。
  • うつの経験が私とよく似ていて、家族にわかってもらえたら良いなと思いました。
  • うつの講演会は初めてで、このような機会をもっと増やせてもらえたら嬉しく思います。
  • 家族としてどう接したらいいかを知りたかったので、参考になりました。
  • うつ病は脳の病気であるという新発見をした。
  • (家族が)愚痴を言える会があればいいと思います。
  • 現在、主人がうつ病で入院中です。もう少し早く(うつ病について)知っていれば、もっと楽な気持ちでこられたと思います。ただ、以前ははっきりとはわからなかったので、こんな講演会があっても来ていなかったと思いますので、やはり期間が必要だったのでしょう。
  • 治療について知らない事がたくさんあることがわかって安心した。カウンセリングや薬だけしかないと思っていたので、まだ試してみることがたくさんあることがわかってホッとした。
  • 私と同じ気持ちを持っている人がいることがわかって、涙が出ました。
  • 脳の病気だという気持ちでこれから(うつ病を)治していくようにつとめていくと気が楽になるように思います。目からウロコでした。
  • うつと共に生きる。焦らず、気張らず生きていきたいと思います。
  • 今日、夫婦で出席させていただき本当に良かったです。私も何度もくじけそうになったかわかりません。お話を聞かせていただいてどうもありがとうございました。
  • 磁気治療の話があったのは有意義だった。
  • 患者本人の気持ちのつらさが日常の生活をみていて理解できない面もありましたが、ご本人の体験を聞き、理解が前向きになりました。
  • こころを打たれるものがありました。私も(患者である)「母は母でいいよ」としっかり伝えたいです!!
  • うつは人生のピットインであるというのはいい言葉ですね。
  • 赤裸々な体験談を聞き、勇気が出ました。
  • うつのメカニズムがよくわかり役立ちます。
  • 質疑応答が大変役立つました。
  • (上野の話は)共感できる部分が多く、自分への自信にもつながりました。
  • みんなにはとても元気そうに見えるらしいのですが、上野さんの「うつの人はみなの前では元気に見せようとすごく頑張って、ひとりになった時、どっと疲れて落ち込む」というお話に、「私だけじゃないんだ。上野さんもそうなんだ」と安心しました。
  • 普段聞けないような話がいろいろと聞けて良かったです。
  • 経験談の事例から自分を見つめ、自分の現在の欠点がわかり、こころが軽く、前向きになって、光がさした。ありがとうございました。
  • なぜ「頑張って」と言ってはいけないかの理由がよくわかりました。
  • 大変感動的な会でした。ありがとうございました。
  • 脳についての解説がとてもわかりやすかったです。焦らず治療をすることの大切さを聞いて、少し安心しました。
  • 病院ではここまで詳しく説明を受けていなかったので、大変参考になりました。
  • 自分をさらけ出す、その勇気におそれいりました。
  • うつはこころの病気ではなく、脳に関係することがよくわかった。
  • 実体験とあって、よくわかった。主人が1ヶ月前からうつだと思うようになった。主人に対しての接し方がわかりました。
  • (岡本先生の話は)とてもわかりやすく、面白かった。これからの自分の再発予防を具体的に考えるきっかけになりそう。
  • 同じ患者、近い世代として共感が持てた。(うつ病を)プラスにとらえることの具体像が浮かんできた。
  • 職場において自分がうつ病であることをオープンにするめことで、気持ち的に楽になると言われているのですが、なかなかそのように出来ない自分がいる。
  • 家族の絆が一番大切。支える人にとっては、当人のつらさとは違うが、多少(つらさが)あるので、やはり支えがほしい。その人にとっても、支えが必要。それにより患者当人の力となれる。
  • こういうことをやっていただけることを尊敬します。悩んでいる人を少しでも助けてあげてください。
  • また、こういう講演会を行ったり、健常者との交流イベントがあって欲しい。
  • 体験談は本当に迫力があり、感銘を受けました。人間、誰がいつ、このような病気になるかもしれない時代になってきています。今後、自分のことより家族の尊い教訓にしたいと思います。
  • うつ病の人は増えていると思います。このような会をはじめとして、具体的な対応策、予防策を広める必要があると思います。

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