岐阜 2003年9月21日(日)
岐阜市民会館 大会議室
参加者135名
講師 植木啓文先生(岐阜大学医学部附属病院神経科精神科講師)
上野玲(うつコミュニティ代表)
夜の時間帯にもかかわらず、大勢の方にお集まりいただきました。植木先生はスライドと詳細にうつ病に関する資料が書かれたプリントを用意されて、心理的・社会的な側面からうつ病の現状を解説されました。
その要旨としては、経済的・社会的な損失として考えられている病気の中で、うつ病は10年ほど前は第4位だったのに対して、10年後には2位にまで上昇するだろう、とうつ病が単なる個人の病気としてだけでなく、社会全体の問題であることを強調されました。
ところが、一生のうちにうつ病になる可能性(生涯有病率)が15パーセントにのぼるとされているのに、実際に治療を受けているのはうつ病を発症している人のわずか15パーセントに過ぎないこと、さらにその15パーセントの人も内科など精神科以外の科目にかかっていて、精神科や心療内科などで適切な治療を受けているのはうつ病患者の10パーセントに満たず、その患者も抗うつ薬の投与を受けているのは8パーセントでしかないなど、まだまだうつ病治療が社会的に広がっていないことを警告しました。
そもそもうつ病は8〜9割が2年以内に自然治癒する病気であるはずですが、生活環境や日々のストレスによって2年以内の治癒が難しくなっているのが現状だそうです。それだけに適切な治療、そしてなによりうつ病が疑われたら早めに専門医の診察を受けることの重要性が今さらながらに感じられました。
その他、うつ病治療の方法として抗うつ薬などの薬物治療を基本として、カウンセリングや認知療法などの心理療法、急激な抑うつ感情による自殺企図がある人や慢性化している人に対する電気痙攣療法、あるいは光を浴びることによって抑うつ状態を和らげる光照射療法など、様々な治療法があることを紹介されました。
中でもまだ研究過程ではありますが、磁気を使った磁気刺激療法について触れられ、この有効性や仕組みなどを説明されたのは、最新のうつ病治療の現状を知る上で大変有意義だったと思います。
また、最新の精神医学研究では、個々人のDNAを分析することによって、どのような抗うつ薬が効果的かといわばオーダーメイドの治療が、近い将来、可能になることもうつ病患者や家族にとっては嬉しいニュースだったと思います。

上野の講演の後、質問の時間になりましたが、回を増す毎に質問の数が増えてきて、時間内では収まりきれなくなってきました。これをどうするかは今後の講演会のあり方として検討していきたいと思います。様々な質問がありましたが、講演終了後、岐阜でもこうしたうつ病患者や家族の会を定期的に開いてみたいと申し出られた方がいらっしゃるなど、やはりインターネットとは違って、直にみなさんが集まる講演会を続けていくことで、各地域毎にうつ病を考える集まりができれば、うつコムとしてもこれ以上の嬉しさはありません。是非、講演会をきっかけにして、各地でうつ病と家族のための集まりの輪が広がっていっていただきたいと思います。
(アンケートから)
- (上野の講演に)同感しました。
- (患者である)娘の姿をそのまま見ているような気がしました。
- 現在、通院中ですが、なにか症状を好転させるヒントになるものがあればいいと思い、参加しました。
- (実体験は)納得できることが多かった
- 病気としてのうつの知識が深められた。
- 非常に(体験談は)共感できた。
- 多くの人の経験談が聞けたら良いのに、少し時間が足りないですね。
- (先生の話は)わかりやすく、とても良かったです。
- (上野の講演は)とても参考になりました。ご本人が体験されたケースが自分たちと似ているため、お話が聞けて本当に良かったです。
- 参加して良かったです。焦らずに今後の生活に採り入れていきたいと思います。どうもありがとうございました。
- (先生の話は)最初のうち、少し難しかったが、最後はよくわかりました。ありがとうございました。
- とても実感があらわれていて、よくわかりました。
- (話を聞いて)なんとなく癒されました。
- 前向きに開き直るという話がためになった。
- 良い試みであり、ためになった。自分も参考にしたいと思った。
- 質問コーナーで具体的なことが聞けて参考になった。
- うつ病患者本人より見守る家族の葛藤やその乗り越え方が知りたい。
- 家族の不安や不満はどうすればいいのか、何を話せばいいかなどを是非、聞きたい。
- 体験談から生きる喜びが出てきました。
- (体験談は)うなづける内容が多く、良かった。
- 上野さんがうつだった時の話を聞いて、共感のあまり泣きそうになった。
- 自殺衝動の話などは共感できるものがありました。HPにもいってみようと思います。
- (先生の話は)専門的だったが、参考になりました。
- 現実的にわかるような気がします。
- 家族として非常にありがたく参加させていただきました。また、パンフが少し自分の答えになっていて、とても参考になりました。
- (先生の話は)全体的に難しかったが、いただいた資料を読み返してみようと思う。
- (上野の講演は)とてもわかりやすく、流れもよかった。
- 経験のある人の話はなんといってもすごみがあります。
- わかりやすい体験談、ありがとうございました。
- うつ病の人は几帳面な人がなりやすいといいますが、この性格を変えるにはどうしたらいいのでしょうか。人の性格はなかなか変えられないと思いますが・・・。
- (先生の)説明が丁寧でよかった。
- (体験談は)うつ病のことがわかりやすかった。何が大切なのかを知った気がします。
- 詳しい資料を配っていただき、わかりやすい言葉で理解できました。
- 過去の自分の体験を話してくださり、ひどいうつの際の対処法を教えていただきありがとうございました。
- 外出するのが億劫な私ですが、なんとか講演会に来ることができて、植木先生や上野さんのお話をうかがうことができました。なかなか億劫さというのものがとれませんが、うつが完治したら(その症状も)なくなるのでしょうか?
- 治療から社会復帰における時間の経過についてよくわかりました。
- 手短に患者として安心できる言葉や行為、うつをきっかけにて生まれ変わることのすばらしさを話していただいて良かったです。私も生まれ変われたら、自分を喜び、うつになって良かったと思って生活していきます。
- うつに対する社会全体の理解が深まると、うつの予防、早期発見、治療、社会復帰が進んでいくと思います。患者やその家族がその役割を行政と一緒に進められることが理想ではないでしょうか。もう少し私が回復したら、その活動をしていけたらと思います。
- 両講師のお話、大変わかりやすく、理解できました。度々、こういう機会があれば、ありがたいと思います。
|